歯周病は予備軍も含めて成人の約8割が罹患しているといわれており、いわば日本の国民病といえます。また、歯周病は成人だけの病気ではなく、約50%の学童が歯周病の初期症状である歯肉炎にかかっているといわれています。
もくじ
学童の歯周病を抑制するために
歯周病は、歯垢の中の歯周病菌が原因で感染します。柔らかい食品を食べることによって唾液の分泌が減っていたり、糖分を多く含んだ食品を食べることが原因ともいわれていますが、一番大きな原因は歯磨きが不十分であることです。
学童が歯肉炎になっても重篤な歯周病に進行することはあまりありませんが、歯肉炎を放置しておくと将来の歯周病予備軍になってしまう可能性が高くなるでしょう。
学童期は歯肉炎になりやすい年代です
学童期~中学生の間は、歯肉炎になりやすい年代です。大人のような歯周病になるケースは少ないですが、歯に付着するプラークが原因で歯肉が腫れ、出欠しやすくなります。
萌出性歯肉炎
乳歯から永久歯に生え変わるとき、特に奥歯の後ろなどに痛みや腫れが強く起こる場合があります。これは一時的なもので、歯が生えるに従って収まる場合がほとんどです。ひどい痛みがあればレントゲンを撮ることもありますが、丁寧な歯磨きを行って経過を見る場合が多いです。
思春期に起こる歯肉炎
思春期(10歳~15歳の10代に多い)に起こる思春期性歯肉炎・若年性歯周炎は、歯に付着したプラークと歯磨き不足が原因となることがほとんどです。また、思春期にはホルモン分泌のバランスが崩れるため炎症が治りにくい状態になります。歯ぐきが腫れ、出欠を伴うことがあります。また、歯のかみ合わせが変化することによって歯肉炎をもたらすこともあります。
その他の不潔性歯肉炎
歯磨きが不十分な部分にプラークが溜まって、歯茎の腫れや出血・痛みが起こることがあります。歯の周りのプラークを歯ブラシで磨くことで治りますが、出血を嫌がって歯ブラシを充分に当てないなどの原因で治りが遅れることがあります。歯肉炎の抑制・治療は1にも2にも正しいブラッシングにかかっています。また、口呼吸が癖になっている場合は歯肉炎が悪化することがあります。
学童期には将来の歯周病抑制のための歯磨きの習慣を
学童期に歯磨きの習慣をつけていると成人してからも歯を磨く習慣がつくため歯周病になりにくいです。意外と成人している方でも歯磨きをきっちり行わない方もいらっしゃるんですよ^^;
歌を歌いながら楽しく磨く
歯磨きは子供にとっては嫌で仕方がないものです。楽しい歌を歌いながら磨いてあげることでとにかく「歯磨きの時間は楽しい」という印象を植え付けましょう。歯磨きの習慣は、乳歯が永久歯に生え変わるまでが勝負です。この時期にしっかりと歯磨きの習慣がついていると将来虫歯になる歯の本数がぐんと減ります。
仕上げ磨きで磨き残しの無いように
小学校の低学年までは、親が仕上げ磨きをしてあげてもいいでしょう。子供は手先が器用でないため、どうしても磨き残しが残ってしまいます。本来は小学校4年生程度までは仕上げ磨きが必要です。また、男の子よりも女の子の方が歯磨きが上手いので、男の子の歯の磨き残しには特に注意しましょう。
歯医者さんの治療がどれだけ痛いかを伝える
近年の歯科医院の治療は痛むことが減り、初期虫歯などは治療をせずに経過を観察するという方向に向かっていますが、「ママのこの銀歯見て、虫歯になるとこうなるんだよ、治療するの大変だよ~」とお話してあげると自分から歯を磨く子もいるようです。
学童期から行う歯周病抑制まとめ
学童期にできる歯周病抑制は、1にも2にも正しい歯磨きと、きちんと歯を磨けているかどうかを親御さんが確認してあげることです。第一次反抗期に差し掛かる頃には丁寧に磨けているかどうかを確認することが難しくなりますので、反抗期を迎える前に丁寧な歯磨きを習慣づけることが将来の歯の健康を守る第一歩だといえます。